昔、海外留学していた時に出会った中国人の家に招かれ、「あなたの国にもあるでしょ?」と見せられたお料理が、日本でもおなじみの「おしるこ」でした。久しぶりの甘い香りに喜びましたが、ひと口食べてみると冷たい。思わず「温めないの?」と聞いてしまいました。
すると、中国では温めないのが普通だそうです。日本でも冷やししるこがありますが、通常は温かくして食べるイメージ。できれば軽く焼いたお餅も入れたいところです。シンプルに豆だけの冷たいおしるこ。豆の形状がなくなるほどに煮込まれ、同じだけと違う・・・と思いました。慣れ親しんだイメージからか、自分の中で思った以上にこだわりがあったんだと気づかされました。
こんなふうに甘くするのはアジアだけと言われています。豆は基本お料理に使うので、塩味が普通というわけです。先日訪れたブラジル料理店でも、「フェジャアーダ」というお料理があり、小豆がメインの、豚の足や耳を入れて煮込んだスープでした。
日本人が小豆を見て思い浮かべるのは甘い味ですが、外国の方々は「豆で出来ている」と聞けば、塩味を思い浮かべるようです。ということは、まずは「豆を甘くして食べる文化もある」というところから広めていく必要があるのでは?と思いました。
そういう意味で、いきなりあんこからではなく、甘く味つけした豆そのものの美味しさを知ってもらう、というアプローチもいいかもしれません。鹿の子であれば見た目も艶やかで美しく、美意識の高い和食のイメージにもつながり、日本文化を端的に伝えることができるのではないか、と考えられます。
茜丸の鹿の子には、大きな「黒豆鹿の子」もあれば、爽やかな緑色の「うぐいす鹿の子」もあります。「白手亡鹿の子」のやさしい白色もおすすめです。小豆、うぐいす豆、白小豆が入った「ミックス鹿の子」であれば、赤・白・緑がそろいますから、それぞれの色を分けて盛り付け、召し上がっていただくのもいいかもしれません。
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