和菓子好きにはたまらないイベント発見!「京菓子展」

 和菓子のインスタをたくさんフォローしています。そんな中で見つけたイベント「京菓子展『手のひらの自然-徒然草』2021」に行ってきました。

 2015年から始まったこのイベントは毎年テーマが決められ、そのテーマに沿ってつくられた創作和菓子が全国から公募され審査されます。そして、選ばれた優秀作品の数々が展示され見ることができるというものです。

 本会場は「有斐斎弘道館」、特別会場が「旧三井家下鴨別邸」、他にもサテライト会場がありました。今回は本会場である「有斐斎弘道館」の様子をお伝えします。

 御所の西側、ごく普通の街並みの一画にあるこの建物は通りから見るとそんなに大きくありません。が、いかにも京都らしい露地を抜け入っていくとそこからは豊かな世界が広がっています。古民家好きにはたまりません。町屋の内部を見られる絶好の機会でしょう。

 入口で入場料を払い、呈茶券を求めました。お菓子は4種から選ぶのですが、迷いましたね。1分以上かかりました。それぞれの意匠が素敵でしたから。ちなみに制作されているのは「有職菓子御調進所 老松」だそうです。

 迷った末に、左上の淡雪羹にしました。「赤心」という銘に興味をそそられたので。

 さて、わくわくと入場です。小間を通り大広間へ。「うわ~」大きな声は出せませんでしたが驚きました。大・大好きな和菓子が整然と美しく並べられています。壮観です。芸術を鑑賞しに美術館に来たかのようです。でも実際に芸術品なんですよね、ひとつひとつを見ると。

 偶然にも展示されているお菓子の制作者の方にお会いしました。とはいっても、他の人に説明されているのを漏れ聞いただけですが。「注文した人の思いを形にする」「感性が大切」そんな言葉が聞こえました。「デザイン画、見せてあげるわ」といった一言も。

 和菓子は手先の器用さだけでなく感性も大切。和菓子職人はまさにアーティストですね。

 写真を撮ることはなんて無粋なんでしょうと思いつつ、撮らずにはいられませんでした。どれもこれも工夫がこらされていて、「そう来たか~」なんて訳のわからないつぶやきをもらしつつ、ファインダー越しに見て、自分の目でも味わって(順番が逆?)、時には行きつ戻りつしながら進みました。

 いくつか写真をあげておきますね。どれがお好みですか。

 「やっぱり練り切りよね」「いやいや、外郎のすりガラス的な美しさも」「羊羹はやっぱり美味しそう」「錦玉の透明感すごっ」と、心の中での呟きはかなりおしゃべりでした。自分ひとりでも頭と心は目まぐるしく動き、大忙し。数も多いですし、どれもステキですし、少し疲れたほどです。

 これでもし徒然草に見識が深かったらもっともっと頭が動いてさらに疲れたに違いありません。そこは幸い、序文「つれづれなるままに 日暮らし 硯に向かひて・・・」を受験勉強で読んだ程度でしたからほどほどで済みました。

 和菓子という芸術品を十分に堪能した後で、お菓子とお抹茶をいただきます。畳に座って、カメラを置いてひと休み。でも風情ある庭も気になりまたパシャリ。ここから先は行かないでくださいというサインとして置かれた石が素敵でした。麻の紐の結びが美しい。日本の美ですね。

 木製の建具の柔らかさ、それを計算しつくされたかのような緻密な組み方で魅せる整然とした美、言葉なくして伝え、それを汲み取るお互いの呼吸。茶道を習っていた時に味わった感動が思い出されます。心がすっかり落ち着きました。

 さて運ばれてきたお菓子は、初めに選んでおいた淡雪羹「赤心」。赤心?と意味を問うと「素直な心」とのことでした。今の自分にまさに必要なことかも。心に沁みました。もちろん、美味しさもしみじみお腹にしみ入りました。

 「淡雪羹」はそのもちもちした食感と上品な甘さが魅力です。今回のものは外側に細かい氷餅がまぶされ、見た目も食感も少し贅沢仕様。このお菓子は今回のイベントのために新たに創作されたものと聞きました。

 共にいただいたお抹茶は辻利製とのこと。帰りに早速、京都駅構内で買い求めましたよ。そうそう、お抹茶茶碗は豊臣秀吉も使われたものだと説明されました。「え?」と心の中でツッコミを入れ、「同じ意匠だということですね」とひとりごちました。

 和菓子と古民家、なんて最高の組み合わせなんでしょうと思い、名残惜しさを思い切り感じながら帰途につきました。このイベントをこれまで逃していたのは非常に残念ですが、これからも毎年あるイベントでしょうから楽しみに来させてもらいましょう。

 ちなみにこの「有斐斎弘道館」は、江戸時代を代表する儒者、皆川淇園(みながわきえん)の学問所「弘道館」址に建つ建造文化財です。茶事をはじめとした江戸時代の教養文化を学べる講座が開かれているそう。これもまた今後チェックしなければ!

 以上、いかにも京都を感じられるイベントのご紹介でした。

AKANEMARU NEWS

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