普段は入ることのない茜丸のあんこ作りの現場にお邪魔しました。場所はなんと街のど真ん中、天王寺にある茜丸本社の自社ビル内にあります。埼玉にも近代的な工場をもつ茜丸ですが、ここ天王寺では、鹿の子や生餡、特注品の他、少量多種のあんこを製造しています。
一歩入るとそこは異空間。というのも昭和の雰囲気、レトロなムードが漂っているのです。創業79年にもなる茜丸の歴史が感じられ、この先も大事にしてほしい風景だと思いました。日本文化のひとつであるあんこを作る現場にふさわしい姿がそこここに見られましたよ。
まず目に入ったのは生餡の入った袋。他の階で作られた生餡が布袋につめられ棚に並んでいます。これを煮溶かしてさまざまなあんこが作られていくわけですね。
あんこ作りの工程は簡単にいえば、生餡を煮溶かし、フレーバー系のあんこであれば風味づけをし、さらに練り上げできあがりです。
写真は、できたてほかほかの「爽快ラムネあん」です。パツと見とても奇抜な色ですが、夏には特に人気。生クリームと組み合わせ甘くて爽やかな「冷やしラムネあんぱん」ができます。しっとり食感の「空色シャーベット」も作れますから、暑い夏を乗り切る食材としておすすめです。
フルーツ系のあんこ「完熟マンゴーあん」のときは角切りの冷凍マンゴーが使われます。茜丸ではできる限り本物志向で作っていますよ。こちらは「マンゴークリームパン」が作れます。カスタードクリームとの相性が抜群の南国ムードあふれるパンです。
あんこは、途中の金属探知機をくぐり、きちんと密封されているか人の目でチェックされ、形を整えるため優しい手つきで撫でられた後、棚に次々と並べられていきます。少し触らせてもらうと、出来立てのあんこですからまだホカホカしていて柔らか目でした。
きれいに並んだあんこの袋、見てください。美しいでしょう。働くスタッフも清潔感にあふれた姿できびきびと働いていました。
生餡さえあればあんこ作りは決して難しくなさそうに見えます。が、見学して気が付いたのは何度も何度も窯の中をチェックする職人さんたちの所作。全部で5つある大釜の間を何度も行き来し、覗き込んでいます。同じ量の生餡、水を入れていても、その日の温度や湿度などによって煮上がりが違うのでしょう。もとになる生餡自体もいつも完全に同じではないのでしょうね。
へらで持ち上げて固さをチェック、甘さ加減を糖度計で測る。毎日のことでも、すべてのあんこでこれを欠かしません。いつも同じ味を求められるのがプロですからどんなに慣れていてもこれは欠かせないことなのでしょう。
ちなみにあんこの出来具合を見て回る職人さんは勤続40年にもなろうかというベテラン社員。やはりここは経験がものいう工程なんでしょうね。
にしても、常に漂う煮豆の香り、あんこになった後の甘い香り、なんて幸せな職場なのでしょう。あんこの種類も多い茜丸では、日によっての変化もあり楽しめそうです。工場で働くなら美味しいもの作りの現場がいいなと能天気に思った私なのでした。
以上、あんこ作りの現場の生リポートでした!
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