和洋の垣根を軽々超える生どら焼き

 茜丸の『五色どらやき』と比較をするために訪れていた小倉山荘。実は普通のどら焼き以外じゃない、どら焼きを見つけていました。それが「生どら」です。冷凍の状態で渡され、解凍して食べるものとのことで、新しいものには目がない私。早速買い求めました。

 冷凍モノらしく、銀色の袋に入っていました。この外側には冷凍状態をキープする袋があり、しっかり口が留められていました。包装から生もの感を出してきていますね。味は「日向夏」と「チーズ」。爽やか系と濃厚系ですね。季節的には日向夏がいいですが、チーズは季節問わず人気でしょう。

 さあ、実食! 一気に2ついきます。

 まずは日向夏から。冷凍から解凍したからでしょうか、どら焼きの皮がもうしっとり。洋菓子のスポンジのしっとり加減も顔負けです。ふだんのどら焼きのあんこを思うとクリームの量が少ないように思いましたが、ひと口食べてみると甘さは十分ありました。むしろ絶妙。

 おまけに日向夏の皮が入っているので爽やかさこの上なし。かぶりついたまま大きく息を吸い込むと柑橘系のいい香りがします。甘さ加減も、生どら焼きとしての量も少なすぎず、何もかもがいいバランスだと思いました。

 次はチーズ。このチーズが「爽やかうまし!」だったんですよ。チーズのもったりとした濃厚さはなく、ほのかにチーズといった加減が私は好きでした。どら焼きの皮のふんわり柔らかな食感とマッチするように軽くホイップされているように思いました。でも味がその分薄くなったということはありません。美味しいチーズクリームでした!

 日向夏にしてもチーズにしても、クリームとどら焼きの皮がしっくりなじんでいると思いました。小倉山荘は有名なあられが大好きで、最近、出ているナッツをコーティングしたチョコレートのクオリティの高さにも驚かされていましたが、この生どら焼きもきちんと真面目に吟味されて作られたと感じました。

 しかし、とにかく、この生食感。これはもうケーキと呼んでもいいんじゃないでしょうか。しっとりしたスポンジのようなどら焼きの皮と生クリームですから。

ちなみにお値段は、266円(税込)です。お腹の満足具合からするとお得ではないかと思います。ケーキのスポンジはもっともっと軽くて、あっという間に食べてなくなってしまうものもありますから、200円台で買えるケーキの満足感を想像し比較すると、生どら焼きは実質本位のお値段です。

 最近のケーキはどうしてあんなに高くなってしまったのでしょう。思うにデザイン料ではないかと。まるで芸術作品であるかのように綺麗ですね。最終目的はもちろん食べることですが、映えるための凝ったデザインが昔より重視されていますね。デザインが独創的であれば、500円を軽く超えても、600円を超えてきても払います。そんな空気があります。

 見て楽しむ、感動する。それも大事です。でも、生どら焼きもいいですよ、食べやすいですし。そう、手に持ってひと口ずつかぶりつきながら、もう一方の手でスマホを触るなんてこともできちゃいます。お皿出して、フォーク出してといったことなしに美味しいスイーツを食べたい方には生どら焼きをお勧めします。

洋風どら焼きといえば、茜丸にも『YODORA』があります。しっとり上品な小倉山荘の生どら焼きとは少し違い、クリームがバタークリームなので濃厚です。おまけにドライフルーツやナッツをふんだんに入れていますから、どの味についても「やれるだけやりました!これでどうだ!」とドヤ顔で迫ってくるパワーを感じます。

 もう対決してくださいましたか。美味しい珈琲とともに。


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