このイベントは茜丸だけではなく、今回の食祭テラスに集まった会社それぞれが、和菓子のミライに向かって様々に工夫されているのもよくわかり、いち消費者として各ブースをまわるとその熱い思いに感激しきり。「へぇ~」「そう来たか~」などと大きめの少し迷惑な?独り言を漏らさずにはいられませんでした。
変わらぬ味、形、姿。そんな老舗の和菓子も大好きです。「あ~これこれ!」と昔の記憶を呼び戻す定番、老舗の和菓子は永遠になくなってほしくありません。しかし、伝統のよさを生かし、さらにアイデアを重ねていくと、そこからまた新しい魅力が発見されたり、今までとは違う層の消費者から注目されたりということがあるのだ、と今回思わされました。
作り手も代替わりして新しい感覚、その時代の空気をまとって作っていきます。これもまた自然な流れなのでしょう。
さて、そんな数々のニューウェーブ和菓子の海を泳ぎながら、あれこれ考察したことをお伝えしようと思います。「和菓子のミライ」のいくつかの潮流を感じたままに書き連ねてみます。
ひとつめの潮流 <見た目(もちろん味でも)で勝負!>
こちらは昔からある製法、味を大切にしつつ、見た目で「え?」と驚かせるものです。会場では色とりどりにつくられた琥珀糖を宝石に見立てたもの、羊羹だけど「カッサータ」つまりイタリアンスイーツのように形づくったもの、そして、落雁だけどまるで動物クッキーみたいな親しみやすさがあるもの、などがありました。
「和菓子はこんなに進化しているのね・・・」との声も周りから聞こえましたが、とにかく、インスタ映え的な魅力を十二分に兼ね備えたお菓子でした。試食させてもらった落雁は従来のものより少しかため、そして、味が若干濃いめとのこと。でも、和三盆の上品な甘さはやはりいいものでしたよ。
ふたつめの潮流 <弱点を克服!>
もちろん、洋菓子もですが、特に和菓子に対していわれるのが、「日持ちしないのよね・・・」ということ。羊羹など、日持ち十分なものもありますが、例えば、お土産として持って帰りたい場合、何日もつのかというのはやはり気になります。和のテイストながら日持ちもする、そこに着眼して作られたお菓子がありました。
それが「みたらしバタークッキー」です。みたらしだんごの焼き印が日本を感じさせます。それでいて見た目は味が想像できて、買いやすいバタークッキー。でも、中味のアクセントにはみたらしのたれが使われている、というのが何ともうまい工夫だと思いました。
3つめの潮流 <組み合わせの妙!>
柿とクリームチーズの組み合わせのお菓子は、干し柿のビジュアルがとにかく美しくて惹かれました。おまけにチーズです。「コーヒーか紅茶とペアリングしてみたい!」との欲望がわき、抑えられませんでした。で、購入。立ち飲みカフェが設けられていたので、こだわりの珈琲を選び、その場でいただきました。
本当に色が綺麗。おまけにクリームチーズの質のよいこと! 濃厚ですがチーズ臭さはありません。小さくお上品ですが大満足。それだけ、柿の味も濃いのです。パクパク食べてしまうものではないと感じました。輪切りにすると美しいそうですが、ごめんなさい、かぶりついちゃいました。
もうひとつ圧巻だったのは、かき氷です。求肥や黒糖など和の食材が使われています。そして、味の決め手となるシロップは白みそ仕立てとのこと。これはもう驚き!立ち食いブースでたくさんの人が召し上がっていましたよ。抹茶、ほうじ茶、その次に来るのはどんな味かと思っていましたが、もしかしたら白みそ?? 個人的にはみたらしだれの味もなかなかよいと思うのですが。
以上、3つの潮流を勝手に考察させてもらいました。
加えて今回ワクワク感を持って眺めたのは包装のデザインです。もちろん、和菓子の昔ながらの包装も好きです。和紙が使われていたり、書道的な文字が書かれていたりのシンプルなものはかっこいいです! でも、文字だけでは読めない、わからない、ということもあるかもしれません。特に海外の方向けの場合は。
ということで、今回はローマ字が併記されているシンプルなデザインのものが多かったように思います。アルファベット表記があれば、買う側も読めますからね。これもまた時代の潮流ともいえるでしょうね。
先日、TVのニュースで「これからの日本は観光立国として・・・」とたまたま耳にし、日本は製造業の国ではなかったの??と心底驚きました。でも、人口減少がみられる今の日本の状況では、様々な場面で海外の方を意識した対応が求められるのでしょうね。
そんなことまでも「和菓子のミライ」から推察したのでありました。
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