レトロな雰囲気を味わうなら、近鉄石切駅から下ったところにある「石切劔箭神社(いしきりつるぎやじんじゃ)」周辺はぜひおすすめ。美味しいあんこのおもちがきっとあると期待して足を運びましたが、美味しいだけではない魅力がそこここにありました。
1.お百度参りができる
いきなり何?という感じですが、初めて目にしたんですよ、お百度参りをしてらっしゃる方たちを。平日の昼間、午後3時頃の普通の時間です。それもひとりふたりではなく、4・5組の方がしてらっしゃいました。
手には百回を数えるためでしょう、白いこよりを持ち、神殿で拝んだ後にひとつ下に向かって折っていきます。その真剣な面持ち、繰り返される所作に魅せられました。下の写真は終わったこよりを入れてあった箱。きっと後で大事に焚いてくださるのではと思いました。願いが天に届きますように。
2.駅から神社までの道が楽しい
「ロケでも使われるらしいで」とのつぶやきが聞こえました。確かに曲がりくねった道、建物、店先のたたずまいには風情があり、昔を演出するのに最適な絵がそこここに見られました。インスタ写真を狙う方にとってもこの道の曲がり具合は、人が写り込みすぎずよい写真が撮れることでしょう。
3.お店ひとつひとつがいかにもいかにも
味噌や豆、佃煮、漬物、線香やろうそく、七味などの香辛料など、懐かしいお店が並んでいます。京都・清水寺の五条坂とよく似た雰囲気ですが、違いは生活感にあふれていること。服やおもちゃも売られ、普段使いの品々といった飾り気のなさ、当たり前感がありました。
4.そしてやっぱりあんこのお菓子
今の季節は、春を待ち望んでのよもぎのおまんじゅうといちご大福が目につきました。お菓子は和洋問わず本当に様々ありますが、やはりこのもちもち食感とあんこは日本人の心、DNAに刷り込まれた味といってもよいのではないでしょうか。
よもぎの香り、もち米の蒸される匂い、清潔感あふれるお店の人のユニフォーム、美しい手などに惹かれつつ、買い求めたお菓子は本当に美味しかった。これが日本からなくなってしまったら日本の大事な食文化が失われてしまう、とまで思いました。
そうそう、店先で手焼きされていたお煎餅も買いました。「石切」という文字が抜かれたひょうたん形のものもありますが、初めて買うので小さい四角いものにしました。「ひとつください」「はい、500円」とアルミ缶から一袋渡され、お店の人はすぐにまた焼きにもどっていきました。放っておくと焦げますから、無駄なおしゃべりはできません。
このお煎餅はほんのり甘くて素材のよさが感じられる、そして長年の成果が感じられる、嫌みのないお菓子です。甘すぎたり、塩気がたったり、ひと口めは美味しいけど飽きてしまったりといったことがない味。毎日なんとはなしに手が伸び、子供たちの栄養にもしっかりなるお菓子。本来お菓子ってそんな立ち位置だったのではと思いました。
レトロな雰囲気にあふれる石切劔箭神社周辺で、よき日本を感じ、こういった神社周辺でしか見られなくなったことに少しだけ危機感も抱いたひとときでした。
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